色の錯覚。同じ色なのに違って見えるのはなぜ?

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私たちが物体を見るということは、物体に反射した光を見ているということです。
そして目に入った光を色として処理するときに、私たちの脳は周囲の環境も併せて処理します。
つまり、私たちが認識している色は、脳で処理された色ということになります。
私が見ている色とあなたが見ている色は同じ色でしょうか。

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対比現象を使えば色を強調できる

色の対比現象とは、ある色が周囲の色の影響を受けて本来の色とは異なる色味・明るさに見える現象です。
色は色相・彩度・明度という3つの性質を持っており、これを「色の三属性」といいます。
色の三属性については『色は光。色の三属性「色相」「明度」「彩度」とは。』の記事で詳しく説明しています。

色相対比

色相対比とは周りにある色の影響を受けて色味が変わることをいいます。
私たちの脳はある色を見るとその色を打ち消すため、見た色と反対の色(補色)を網膜上に作り出します。
この作用があることで網膜上にいつまでも色が残ることがなくなり、次に見る色を正確に識別できるようになります。
補色とは色相環において正反対にある色のことです。

ここで、色相対比の説明に戻ります。
まずは以下の図を見てください。

周囲を赤と緑に囲まれた黄色があります。
この図を見たとき、私たちの脳は赤の補色と緑の補色を脳内にそれぞれ作り出します。
赤の補色は青緑、緑の補色は赤紫です。
真ん中の黄色と脳内に作り出された各色の補色が重なり、赤に囲まれた黄色は緑に近づき、緑に囲まれた黄色は赤に近づくのです。

明度対比

明度対比とは周りの環境の明るさによって色が明るく見えたり、暗く見えたりすることを言います。
以下の図を見てください。

真ん中のグレーは同じ色ですが、周りが明るい(白っぽい)と中央のグレーは暗く、周りが暗い(黒っぽい)と中央のグレーは明るく見えます。
昼間に見る光と夜に見る光では、光の明るさが同じでも、夜に見る方が明るく見えますよね。
色も同じように周りの環境によって、明るく見えたり暗く見えたりするのです。

彩度対比

彩度対比とは周りの色の彩度差によって色の鮮やかさが変化することをいいます。
さっそく彩度対比の例を見てみましょう。

中央の色は同じですが、周りの彩度によって鮮やかに見えたり、くすんで見えたりしています。

捕色対比

補色対比とは補色同士を組み合わせると互いの色が強調される現象です。
文字や絵を強調したいときに使うと、印象に残るデザインにすることができます。
ただし、2色の明度が近いとハレーションと呼ばれる、色同士の境界がチカチカして見える現象が起こることがあります。
ハレーションを回避するためには、明度差をつけるか、境界に別の色を挿入することが必要です。

縁辺対比

縁辺対比とは隣り合う2色の境界付近が、色相・彩度・明度の対比によって強調される現象です。
明度による縁辺対比の例を紹介します。

境界付近の明度差が強調されボコボコしたように見えます。
各色の境界線において、明るい色と接する右側の辺は暗さが際立ち、暗い色と接する左側の辺は明るさが際立っています。
そのため、各色について左から右にいくにつれて暗さが増し、グラデーションがかかったように見えるのです。

同化現象を使えば全体の印象を変えられる

色の同化現象は、隣接する色が影響して色同士が似た色に見える現象です。
同化現象は細いストライプや小さいチェックのように図柄が細かくなると起こります。

色の同化はスーパーでみかけるあれにも活用されています。
詳しくは以下の記事を読んでみてください。
 ・みかんのネットが赤い理由。ストッキングとの意外な共通点とは?

色相同化

色相同化とは周りの色の影響を受けて似た色に近づく現象です。
以下の図を見てみましょう。

黄色の背景に赤と緑の細かいストライプを入れると黄色がそれぞれの色に近づいて見えます。
そのため、赤いストライプを入れた黄色はオレンジを帯びたように、緑のストライプを入れた黄色は青みがかって見えているのです。

明度同化 

明度同化とは周りの色の明度差の影響を受けて色の明るさが変化することをいいます。
グレーの背景に白と黒の細かいストライプをそれぞれ入れてみます。

白(明度が高い)のストライプを入れたグレーは明るく、黒(明度が低い)ストライプをいれたグレーは暗く見えますね。

彩度同化

彩度同化とは周りの色の彩度差の影響を受けて色の鮮やかさが変化することをいいます。
地色のピンクに鮮やかな赤を入れるとピンクの彩度も上がり、くすんだグレーを入れると彩度が下がることが分かります。

対比現象と同化現象の違い

対比現象と同化現象はどちらも周囲の色の違いによって、色が変化して見える現象です。
対比現象は隣接する色の面積が大きい時におきます。
「色(色相・明度・彩度)の差」によって一方の色が際立って見える効果があるため、目立たせたい物がある場合に対比現象を使うと上手に強調させることができるのです。

そして、同化現象は隣接する色の面積が小さい場合に起こりやすい現象です。
そして、互いの色が近づくことで彩度を変えたり明度を変えたりする効果があるため、全体的な印象を変えたいときに取り入れてみるといいですね。

まとめ

私たちが見ている色は周囲の環境によって変化します。
お店で見た洋服が家に帰ると違って見えたり、ネットショッピングで買った物がイメージと違ったり。
これは照明や周囲にある物の色の影響によって、色が変化して見えるからなんです。
今見ている色がいつでもどこでも同じ色に見えるわけではないということを知っておくといいですね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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